
取引先へ向かう途中、駅の階段で足を踏み外して骨折。
労働者なら労災保険で治療費や休業中の給付が受けられます。社長の場合は、どうでしょうか。
答えは「(労働者としての扱いになる場合を除き)特別加入していなければ、社長ご本人のけがは労災保険の対象になりません」。
そして、特別加入していても「どんな業務中だったか」で変わります。
社長・役員は、通常、労災保険の対象外
労災保険は、雇用されて働く「労働者」のための保険です。社長・役員の方は労働者ではないので、会社が労災保険に入っていても、社長ご自身は対象になりません。
例外として、部長や工場長などを兼ねる役員(使用人兼務役員)で、社長などの指揮命令を受けて働き、その対価として一般の労働者と同じ条件で賃金を受けている方は、その部分について労働者として扱われ、労災保険の対象になります。
また、業務中のけがには、健康保険も原則として使えません。
例外として、健康保険の被保険者が5人未満の会社の役員が、ほかの従業員と同じ業務をしていてけがをした場合は、健康保険の対象になります(健康保険法第53条の2)。
つまり何も備えていないと、治療費は全額、ご自身で負担することになります。
特別加入していれば、外回りも対象になります
中小企業の社長・役員の方は、労災保険の「特別加入」をすることで、労働者と同じように補償を受けることができます。
外回りのけがが補償されるのは、たとえば次のようなときです。
- 申込書の「業務の内容」に書いた業務(営業・配達など)を、労働者の所定労働時間内にしているとき
- 労働者の残業・休日出勤に合わせて業務をしているとき
- 事業の運営に直接必要な業務のために出張しているとき
対象にならないこともあります
特別加入していても、次のようなときは補償されません。
- 社長としての仕事:取締役会や株主総会、経営者の会合への出席など、事業主の立場で行う業務
- 労働者が働いていない時間に、社長だけで外回りをしていたとき(夜間や休日など。業務の準備や後始末の場合などを除きます)
- 特別加入が承認される前の労災事故
安心して働くために
特別加入は、会社が直接労働局に申し込むことはできず、労働保険事務組合を通して申し込みを行い、都道府県労働局長の承認を受ける必要があります。
なお、特別加入をするためには、従業員についてすでに労災保険に加入していることも必要です。
→ 申込書の「業務の内容」には、外回りの営業や現場の作業など、普段している業務を具体的に書いておくことが大切です。
→ 労災事故が発生した後に申し込んでも、その労災事故は補償されません。早めのお申し込みをおすすめします。
東京都労働保険協会は、厚生労働大臣の認可を受けた労働保険事務組合です。特別加入の申し込みから毎年の手続きまで、まとめてお引き受けいたします。
▶ くわしくは「労災保険の特別加入」のページへ
▶ ご相談は無料です。お電話:03-5809-2872(9:00〜17:00/土・日・祝日定休)/お問い合わせフォーム

